はじめに
私は大学院に飛び級して入学しました。
前回、それに関して大学院飛び入学制度とは?という記事を書きました。
大学院飛び入学制度についての記事はこちらから。
前回の記事では書ききれなかった、私が大学院飛び入学制度を利用した感じたメリット・デメリットについて、今回は紹介したいと思います。
なぜ大学院飛び入学制度を利用したか
そもそも、なぜ私が大学院飛び入学制度を利用したか、という話も前回していませんでした。
私が大学院飛び入学制度を利用した一番の理由は金銭的なものです。
大学院にいきたいと思っていたのですが、4年+2年の学費や生活費を捻出するのが厳しかったので飛び級をしました。
バイトをたくさんするという選択肢もありますが、長い目で見たとき、それよりも飛び級して1年間分浮かせた方が得だろうという結論に自分の中で至りました。
金銭的なメリットについては、後程詳細に書きます。
あと、単純に飛び級をして損になることはないだろうから、出来るならした方が良いだろうと考えていました。
「迷ったら前へ」が家訓なので(?)
飛び級をして損することはないだろうと思っていましたが、色々大変なこともあったので、それについても書いていきます。
大学院飛び入学のメリット
金銭面
私が一番魅力を感じたのはここです。
金銭的メリットの中でも、短期的メリットと長期的メリットの2種類があります。
短期的な金銭的メリット
まず、短期的な面について書いていきます。
これは単純です。
始めから大学院に進学するつもりであれば、学部4年次でかかる金が不要になります。
私は一人暮らしなので、1年間分の学費と生活費が浮きます。
学費 約54万円 + 生活費 約120万 (1か月10万 * 12か月) = 174万円
単純に170万円ほど浮きますね
学生にとってかなり大きい額であるということは説明しなくても分かると思います。
短期的に金がないけど院進したい私にとってはかなりありがたい制度でした
長期的な金銭的メリット
以前こちらの記事で堅実な守銭奴向けと称して大学院進学の金銭的メリットについて考えました。
飛び入学すると、一年早く院卒として働くことができます。
ということは、年収が一番高くなる55歳より前に働く年数が一年多くなります。
院卒として最も年収が高くなる時期に一年多く給料がもらえます。
以前の記事を是非一度見て欲しいのですが、この額は 約1000万円 にもなります。
大卒と院卒の生涯賃金は4000万円以上違うと以前書きましたが、
飛び級をすると5000万円以上変わることになります。
ちなみに私は大学受験のとき一時期浪人するか迷っていたのですが、同じ考えから浪人しませんでした。
まあ浪人はまた色々な要素があるので難しい話ですが、標準労働者になり得る堅実な守銭奴にとって一年多く働けることは金銭的にかなり大きなメリットであることは伝わったのではないでしょうか。
馬鹿みたいな感想になっちゃいますが、1000万円ってヤバくないですか……?
1000万円貰えるなら欲しい!
そういうことで私は飛び級しました。
研究室・研究テーマを自由に選べる
私の大学では、4年次に研究室や研究テーマを選んで、規定人数より多ければGPAや話し合いでバトルします。
飛び級すれば、同期との話し合いとは関係なく、希望の研究室に行くことが出来ます。
GPAは学科で恐らく1番良かったので好きに選べたかもしれませんが、殴り合いになったら負けるし、喋るのも苦手なので、避けることができてラッキーっていう感じです。
また、研究テーマに関して私の大学では、ほとんどの場合、先生が提示したテーマを選ぶ形でした。
私は興味のあることが自分の中である程度決まっていたので、
先生にアピールすることで、研究テーマをそれに近い方面で新規で設定してもらうことができました。
普通に4年生でGPAバトルをして研究テーマを選ぶ形では、これは不可能だったので、飛び級して良かったと思っています。
研究室や研究テーマの決め方に関しては大学・学科によって異なると思うので確認してみてください。
優秀だと思ってもらえる
これはメリットでもあり、デメリットでもあると思っていますが、
周囲から「飛び級したのだから優秀だろう」と思ってもらえます。
先生方は期待してくれるので、「やりたい!」と言ったことをやらせてもらいやすい環境になります。
私は崇高な理想から飛び級したわけではなく、金銭面から飛び級をしたので、就活の学生時代に力を入れたこと(通称:ガクチカ)などで飛び級の話を積極的にしたりはしませんでしたが、たまに何故大学中退なの?と聞かれました。
そのときに「実は飛び級していて~」と話すと、「とっても優秀なんだねー」となります。
まあでもその程度です。
ホントに優秀かは知らんけどね
メリットまとめ
・金銭面だけを考えるとメリットしかない
ごちゃごちゃ付け加えましたが、大きいメリットは金銭面です。
金銭面のみ考えると使わない理由がない、くらいの制度です。
大学院飛び入学のデメリット
学位が取得できない
私が飛び級する前に想像していた一番のデメリットは学位を取得できないことです。
よく研究で病む人の話を噂で聞いたので、もし自分が研究向いてなさすぎて病んで修士が取得できずに最終学歴が高卒になったらそのあとどうしよう…と考えていました。
自分はきっと研究が好きだろうと信じて飛び級をしたわけですが、研究室に所属されて分かったことがあります。
研究室に配属されてから病む人は、研究が向いてない人ではなく、
研究室の先生と死ぬほど馬が合わない人です。
そうでなければ、基本的に大丈夫だと思います。
よく「卒論は参加賞、修論は努力賞、それからが本当の論文」などと言われます。どんなに研究が向いていないと自分が思っても、言われた通り努力すれば修了できないことはよっぽどないと思います。
そういう私はいまコロナ禍で思うように実験ができず、ヒヤヒヤしていますが。
学位が取得できないデメリットは今のところほとんど感じていないです。
たまにインターンや就活で条件に「学位を取得していること」とあるときもありますが、大抵の場合は事情を説明すれば大卒相当の能力があるから問題ないとみなしてくれます。
就活の履歴書などで「○○大学 中退」と書かなければならず、見映えが悪いってことくらいですね。
これも恐らく、大学院に入学して、修士課程修了予定で就活することから基本的に無問題とは思いますが、「中退」だけ見て無言で落とされる可能性はなくもないかと思います。個人的にはあまり影響なかったと思っていますが、保証はできません。
一番の不安要素でしたが、思ったより学位が取得できないことによるデメリットはありませんでした
時間が足りない
これが、実際に飛び入学をして感じた一番のデメリットです。
まず、同期になる他の修士の学生より1年研究している期間が短いです。
他の人たちは4年生での研究や卒論で培ったノウハウなどがありますが、こちらはゼロからのスタートです。
これが想像以上にキツイ……
そして、周りは私のことを優秀だと思い込んでいます。
ここで自分は優秀なんだ!と思っていると死にます。
自分は他の人よりハンデを背負っているという思いで、他の人より量をこなしていかないと絶対に追いつけません。
修士での研究期間が2年間なのに、1年のハンデをそうやすやすと飛び越えることはできません。
飛び級した人は勉学の面では優秀だったかもしれませんが、今は底辺からのスタートであることを自覚して研究をしていかないと追いつくことすら不可能です。
プライドなんて持っていたら死にます。全てをかなぐり捨てて色んな人に教えを乞うて何もかもを吸収していかないと間に合いません。
そういう意味で圧倒的な研究能力が既に備わっている場合を除き、ある程度の神経の図太さが必須です。図太くない人はやめておいた方が良いです。
ちなみに私はめっちゃ図太いです!
誇らしげに言うな!
あと、他の人より研究を頑張らなくてはいけないのですが、M1は研究だけでなく、就活も授業もと色々やることがあり、かなりキツイです。
夏のインターンとかいってる場合じゃない!って感じでした。
私は馬鹿なので自分のプログラミング能力は通用するのかな~くらいの思いで就職するつもりのないIT系の企業一社にはインターンにいきましたが、周囲のM1の人たちはもっと志望度の高い企業のインターンにたくさん参加していました。
まとめると「物理的に時間が足りないので、うまく時間を使えないとかなり大変になる」ということです。
人間関係
飛び級する前に先生から言われたデメリットです。
同期だった人が後輩になり、先輩が同期になるので、友達が減るという話をされました。
わたしは元から友達多くないので関係ねえ~と思っていました
陰キャの極み!
でも実際、大学なんて留年とかで学年がバグることは少なくないので、元から仲良かった人に学年が変わったくらいで距離置かれたらその程度だったってことじゃないですかね。
分からないけど。
4月に研究室に配属されたとき、同期になる先輩から敬語で話しかけられた時は少しビックリしましたが。
最初はみんな私をどう扱えば良いのか困惑していたのだと思いますが、今は私も周りも慣れてきました。
元々仲の良い、上の学年にフラットに混ざることは流石にできませんが、まあ別に研究する上で問題はないかなと思っています。
授業のグループワークはもちろん友達いないので困りましたが、私は図太いし周りは優しいのでなんとかなりました。感謝。
周囲から色眼鏡で見られる
メリットで説明した「優秀だと思ってもらえる」の裏返しです。
日本で飛び級はまだあまりメジャーな制度でないので、優秀だと思ってもらえるどころか無駄に「かなり頭が良い」と思われます。
そのため、馬鹿な質問をしにくいです。まあ私はしちゃうんですけど。
多少なりとも周囲に分からないことを質問しづらい空気にはなると思います。
ここで尻込みせずに質問していけないとハンデを負っている飛び級生は死にます。
デメリットまとめ
・とにかく時間が足りない
・図太くないと死にます
こんな感じです。
思ったより学位未取得はデメリットになりません。
が、かなり大変ではあります。
全員に勧められる制度かというとそうではないです。
博士課程に進む場合は?
私はこれまで修士卒で就職することを前提に書いてきました。
博士課程に進む場合はどうなのか、というと、個人的にあまり勧められないと思っています。
私は博士課程に進むわけではないので想像になってしまいますが……。
実際、飛び級した人はアカデミアに残ることが結構多いらしいですが、正直その場合はデメリットの方が大きいかなと思います。
博士課程の人が経済的に自立するために、学術振興会特別研究員(学振)と言われる制度があります。
これに合格すれば月20万円の給与に加え、年に150万円以下の研究費が支給されます。(参考:日本学術振興会HP)
このような博士課程の学生がお金を得る手段はいくつかありますが、
ほとんどの場合、「実績」を求められます。
この「実績」をつくるのにそれまでの研究期間が一年短い飛び級はデメリットが大きいかなと考えています。
まあ全部やってみないと分からないので、博士課程に進む予定の方で飛び入学の制度を利用しようかなと迷っている方はこれも含めて考えてみてください。
まとめ
大学院飛び入学制度は
・金銭面のみ考えるとメリットしかない
・しかし、とにかく時間が足りない
・自分は底辺からのスタートだと理解しないと詰む
・図太くない人には勧められない
・博士課程進学予定者にも個人的には勧めない
かなり長くなってしまいましたが、こんなところです。
大変ですが、メリットも大きい制度なので、お金がないけど院進したいなと考えている人は一度考えてみても良いと思います。
あと金のためなら多少の苦労なんてなんのそのって方にはオススメです。
金銭的にはメリットしかない制度!ちょっと大変だけど……
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