留学失敗談【第三章:二日目の下校 ~自力で何とかしようとするな編~】

大学

これは私ではなく、2つ下の妹①の留学失敗談です。

これ以降は妹の文章がベースになっています。



はじめに

大学が手配してくれる短期留学プログラムに参加して、ド派手に迷子になった時の体験談です。

今回は第三話です。はじめのお話はこちらからどうぞ。

今日は二日目の出来事を書いていきます。

二日目の下校

その日の朝は、最初のバス停までホストマザーが車で送ってくれました。

降りるバス停の記憶もおぼろげで学校まで辿り着けるか不安でしたが、朝は比較的結露が少なく、大きなドーナツショップの看板が見えたので、無事正しい駅で乗り換えることが出来ました。

そこからは偶然同じプログラムに参加している日本人を見かけて、彼女に付いていきました。

そんな感じで、無事に登校出来たこともあり、少し自信がつきました。

そして問題の下校。

窓は相変わらず結露で曇っています。

同じバスに乗っている日本人もどんどん少なくなっていき、ついにはいなくなってしまいました。

先日と同じ、危機的状況です。

しかし、自分には策がありました。

ステイ先で使えるWi-Fiを用いて、私は事前に家から学校までのルートを紙のメモに取っておいたのです。

ゴハン
ゴハン

それ初日からやっとけや

いざとなればこれをバスの運転手に見せて案内をお願いすれば、確実に帰れるだろう。

そんな考えでした。

自分なりの準備

とりあえず、バスの運転手に私のメモを見せに行きました。

「このバス停で降りたいんだけど、いつ着きますか?」と。

そうしたら、「このバスはそこに停まらないよ」と返されました。

前述した通り、私の家は遠いので、何パターンか帰り方があります。

私は検索して出てきた一番上のものだけをメモしましたが、どうもそのルートだとこのバスは使わないっぽかったんです。

日本人と出来るだけ一緒のルートで帰りたいのでこのバスを利用していたんですが、仇となってしまいました。

ゴハン
ゴハン

メモ通りに帰らないのアホすぎんか?

運転手に、そのバス停に停まるバスの番号を聞いて、そのバスに乗り換えるところで案内して下ろしてもらいました。

そこで乗り換えて無事に言われたとおりのバスに乗ったつもりだったんですが、しばらく乗ってってもメモにあるバス停の名前が聞こえてきませんし、ドーナツショップも現れません。

再び運転手に聞いてみると、「このバス停に停まるのは逆方向のバスだよ」と返されました。

真逆に進むバスに誤って乗ってしまっていたみたいです。

この時点で、普通に帰れば家に着く時間を大幅にオーバーしていました。

前日に迷子になったこともあり、心配したホストマザーが電話をかけてくれました。

電話に出て、「逆方向のバスに乗ってしまった」と正直に白状しました。

ホストマザーは私が今どこにいるかを聞いてきて、一生懸命案内をしてくれました。

ですが、私のメモしたルートが予定外のものだったせいで、まったく聞き覚えのない怒涛の英語説明が始まってしまいました。

全然分かりません。

そうこうしているうちに、携帯の充電が残り3分の1になってしまいました。

実は前日、ホストマザーとメールがやり取りできるように、夜まで携帯の特訓をしていました。

それから充電したつもりだったんですが、何故か全然充電できておらず、すでにバッテリー残量がピンチでした。

正直迎えに来てほしかったですが、家から結構遠いところに自分がいるらしく、「もっと近くに来たら車を出すわ」と言われました。

そろそろ充電が本当に心配になってきて、私はとりあえず電話を切りました。

そしてバスを降り、逆方向に行くものを待ちました。

相変わらずの小雨に、寒さに、私の七分袖。

外で待っていると全身が凍り付きそうでした。

ですが、携帯も使えますし、メモもあるのでどのバスに乗ればいいかがちゃんと分かっているので、その時点では、私の焦りはそこまでなかったです。

心のシャッターが閉まる音

次に来たバスに乗り、さっきまでと同じようにメモを見せ、このバスが最寄に停まるか聞こうと、私は運転手に声を掛けました。

振り返った人は、ブロンドの髪の美しい女性でした。

少したじたじしながら、私はメモを取り出しました。

しかし、彼女はすぐに正面に向き直ってしまいました。こんなことは初めてでビックリしながら、聞き取れなかったのかと思い、もう一度声を掛けました。「このバスが、メモにあるバス停に停まるか聞きたいんですが…」

「NO,NO」

お姉さんは、そう冷たく返事をしました。それから、「座って」と私をあしらって、すぐにハンドルに手を戻しました。

今まで、バスの運転手は親切な人しかいなかったので、それだけで私は心がすくような思いでした。

何も言えなくなって、頭が真っ白になって、すごすごとイスに腰かけました。

夜も遅くなってきていたので、乗客は全然いません。

バスが静まり返っているのが何となくしんどくて、私はイヤホンで耳を塞ぎました。

ドーナツショップは全然見えません。

大きめのバス停で、とりあえず降りました。

携帯の振動を感じて手に取ると、ホストマザーからたくさんのメールが届いていました。「今どこにいるの」「大丈夫なの」「私そろそろ寝たいんだけど」「あなたが帰ってこないと心配よ」時刻は10時近く、ホストマザーはいつもなら寝ている時間でした。

既に昨日の迷子よりも大分時間を食っています。

昨日も散々迷惑をかけて、今日も心配をかけている自分が情けなくて、家の鍵も借りたので、「今バス停で乗り換えたところだ、自分の場所は把握してるから大丈夫、鍵を持ってるから先に寝てて」とメールを送りました。

その時、充電マークが点滅を始めました。

これは充電が切れる寸前だと判断したので、私は携帯の電源を落としました。

本当に無理だって思った時、スタッフに連絡する分の充電がなかったら詰みだと思ったからです。

“大丈夫”とかメールで送っておきながら、自分がどのバスに乗るべきなのか、私は全く分からなくなっていました。

バスの運転手に冷たくされてテンションも最低で、とりあえず歩いて見えた場所のバス停でバスに乗ろう、という帰る気が全くないようなことを延々としていました。

動かないと不安で、でも他の人に迷惑をかけたくないから携帯で助けを求めることもしたくなくて、さっきのことがあったから人に声を掛けるのも怖くて、それに外は相当暗くなっていて、窓の外なんてほとんど見えなくなっていました。

悪化の一途

やけになって適当なバスに乗り続けていたら、大型のショッピングモールに着きました。

そう言えば、ホストマザーが「学校帰りにショッピングモールも寄れるよ」と紹介していたことを思い出し、比較的近所なんじゃないかと雑な仮説を立てました。

勇気を出してバスの運転手にメモを見せると、「このバス停なら向こうの方に歩くといいよ」と優しく案内してもらえたので、お礼を言って指さされた方向に歩き始めました。

ここまで飲まず食わずで9時間はウロウロしていたので、ショッピングモールに寄って何か食べてきたいな~と思ったんですけど、もう閉店の時間をとっくに過ぎていたみたいで、どの店も開いていませんでした。

しかも、この時点で12時になってしまい、各所のバスが最終便となっています。

もう歩くしかありません。寒いし、お腹はすいたし、暗いし、ショックな出来事もあったしでかなり落ち込んでいた私は、イヤホンを付けて、大音量で「クレイジークレイジー」をかけながら夜道をひたすら歩きました。

比較的近いんじゃないか、そんな目星を立てて歩いていた私でしたが、バスの運転手が指さした方向に歩けども歩けども、木と民家と道路しかありません。車も10分に1台くらいしか通りません。

とんでもないド田舎です。

しかも、道々にあるバス停にもうバスは来ません。

そろそろ携帯でスタッフに電話すべきか、もうちょっと頑張って歩いたら家が見えてくるのだろうか、ていうか爪先が壊死しそうだから立ち止まってカイロで温めたいなぁ、そんなことを考えながらちんたら歩き続けていたら、深夜の1時になってしまいました。

いい加減マジでやばいと思ったので、携帯電話の電源を入れました。すると一気にメールが36件届き、もっと早くに連絡すべきだったと後悔しました。

とりあえずスタッフに電話を入れると、今どこにいるのかと聞かれました。

近くに目印になるような建物がなかったので、小走りでその辺のバス停まで向かい、停留所の番号を読み上げていたら携帯の電源が切れました。ブツっと。

特に店もないですし、策の施しようがないので、スタッフがここまで迎えに来てくれるのをしばらく待ってみて、ダメそうだったら灯りが付いてる民家に突撃して電話を貸してもらおう。

そう考えていましたが、5分少々でスタッフの迎えの車が来ました。

事務所と近かったらしいです。

昨日は電話の向こうで楽し気に笑っていたスタッフでしたが、流石に今回はシリアスな雰囲気で注意されました。

とにかく、携帯を使えるようにしておいてくれないと、万が一の時に助けられないし、困っちゃう…みたいなことを言ってた気がしますが、疲労困憊だったし、何か寒さで耳が遠くなっててよく聞き取れませんでした。

迎えに来たスタッフに開口一番「病院行く?」と言われるくらいには皮膚が青くなってました。

クソクソ寒かったです。

すぐに迎えに来てくれるくらいサポート体制が整っているスタッフでしたが、「学校から家までのバスが全然分からない」と何度も言っているのに、「ホストマザーの言うことを聞いていれば大丈夫だよ」と軽くあしらわれました。

自分での成長を促すスタンスなのかもしれません。

そんくらい自分で考えろや、ってスタンスなのかもしれません。

ちなみに、車で30分くらいしたら家に到着しました。全然近くなかった

ようやく帰宅

絶対寝てるだろうなぁ、と思っていましたが、ホストマザーは起きて私の帰りを待っていました。

暖炉を焚いてくれて、濡れた服を乾かしてくれて、とても親切にしてくれました。

でも携帯の電源を切ってたことについてはすごく怒られました。

さめざめと泣きながら頭を下げ続けました。

食欲もわかなかったので、作ってもらった夕飯をラップで包んで冷蔵庫にしまい、身体を拭いてすぐに布団に入りました。

ですがその日は落ち込んじゃって、全然眠れなかったので、ベッドの中でツイッターを眺めていました。

この日の体験から、以下の4点を伝えさせてください。

・緊急時に連絡が取れるよう、携帯の充電はちゃんとしとけ!
・冷たい人も当然いるから、いちいちダメージを受けるな
・気を遣わず、どうしようもないならすぐ連絡しろ
・飯は食え、そして寝ろ!変な時に疲労が襲ってくるぞ

本当、疲れてるときこそちゃんとご飯を食べて寝ましょう。

次の日に後悔することになります。

(あと、この体験は数年前の出来事なので、今更コメント欄とかで私を責めないでもらえるとありがたいです…。私の行動があかんかったっていうのは、今の私がちゃんと分かってるつもりですので!)

まとめ

・緊急時に連絡が取れるよう、携帯の充電はきちんとする
・冷たい人も当然いるから、いちいちダメージを受けない
・気を遣わず、迷ったらすぐに連絡する

次回は三日目の話になります。

ゴハン
ゴハン

アホすぎて可哀そう

謎の金髪
謎の金髪

お前は海外に行ったことすらないくせに!

こちらで妹の描いた実録漫画も見れるので是非。

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