【堅実な守銭奴向け】大学院進学の金銭的メリット・デメリット

大学



はじめに

学部で卒業して就職をするか、大学院に進学するか。

人生において大きな決断の1つだと思います。

研究が好きだから大学院に進学する、早く社会に出たいから学部卒で就職する、様々な考え方があると思います。

考え方は個人の自由なので、たくさん悩んで自分で決断をしてください。

ここでは、単純に統計データから大学院進学に金銭的メリットはあるのかを調べていきます。

この記事では院卒=大学院修士課程修了で書いていきます。博士課程はまた別です。

・自分は堅実な守銭奴である
・感情論でなく、数字でメリット/デメリットを知りたい
・お金のことしか考えていない
この記事はこういう人にはオススメです。
当然ですが、あくまで統計データからなので、必ずこの通りになる保証はありません。話半分で聞いてください。

院卒と学部卒の初任給の違い

大半の企業では、学部卒と院卒で初任給に差がついています。

こちらは厚生労働省の『平成30年賃金構造基本統計調査』から引用したデータです。

男女計

大学院修士課程修了 23.87 万円
大     学     卒 20.67 万円 

初任給で3.2万円ほどの違いが見てとれますね。

まあこのあたりは色々なサイトでも書かれていることですが。

院卒と学部卒の生涯賃金の違い

気になるのは生涯賃金についてだと思います。

これに関しては、内閣府経済社会総合研究所(2014)の『大学院卒の賃金プレミアム―マイクロデータによる年齢-賃金プロファイルの分析― 』にまとめられています。

この論文では、大学院進学の経済的価値についてが検証されており、以下のことが結論として述べられています。

・大学院卒の生涯賃金は学部卒よりも高い

・大学院卒の賃金は高年齢層になっても上昇し、これが学部卒との差を広げる要因である

データを抽出したのでひとつずつ見ていこうと思います。

図1:院卒と学部卒の年収-年齢グラフ

上のグラフは院卒と学部卒の各年齢での平均の年収を比較したものです。
はじめは2年間長く働いている分、学部卒の方が年収が高いですが、26歳で逆転します。
院卒の方が30~50歳くらいでの年収の伸びが顕著に大きいですね。
ちなみにこのデータは、学校卒業後直ちに企業に就職し、同一企業に継続勤務しているとみなされる “標準労働者” のみを対象にしています。
タイトルに “堅実” というワードをいれたのはそのためです。起業したり、そういう人は含まれていません。お好きに羽ばたいてください。
図2:院卒と学部卒の累計賃金-年齢グラフ
図1の各年齢での年収データを積み上げたものが上のグラフになります。
ある年齢時点での累計の賃金を院卒と学部卒で比較したものになります。
年収自体は26歳で院卒の方が高くなりますが、学部卒は2年多く働いているので、26歳時点の累計賃金はまだ学部卒の方が高いです。
ですが、これも33歳になると、学部卒の累計賃金を院卒が追い抜きます。
そして、65歳までの生涯賃金収入は、以下のようになります。

男)

大学院修士課程修了 3億4,009万円
大     学     卒 2億9,163万円

(女)

大学院修士課程修了 3億1,019万円
大     学     卒 2億6,685万円

男の場合、院卒の方が4,850万円ほど多いですね。女の場合も、院卒の方が4,330万円ほど多いです。
しかし、これは大学院進学にかかる費用という要素が考慮されていません。
これを院卒の累計賃金グラフから引いていきたいと思います。
大学院進学にかかる費用ですが、これは人によって異なります。
国立大学は大体どこも大きく変わらず、入学金+2年間の学費を合わせて約135万円です。
私立大学は大学ごとに大きく変わりますが、平均は入学金+2年間の学費等を合わせて約180万円です。(参考:文部科学省『私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について』)
プラスして生活費ももちろんかかりますが、生涯にかかる金額という意味では、生活費は就職後もかかり続けるものなので考慮しません。
今回は多く見積もり、180万円を大学院卒の累計賃金から引いて計算します。
国立大学の人の差額は学部で就職したら補助してもらえた家賃分とでもしてください。
図3:院卒と学部卒の累計賃金-年齢グラフ(学費考慮)
図2と大きく変化はありませんが、学部卒の累計賃金を院卒が追い抜くのは2年遅くなり、35歳のときになります。
個人的にはもっと早く累計賃金は同じくらいになると思っていました。結構時間がかかりますね。
ですが、その後の賃金の伸びも想像より大きかったです。4,000万円以上もの差がつくとは思いませんでした。面白いですね。
35歳には脱サラする!とか35歳までの期間に多く企業でお金を稼ぎたいなら、学部卒で就職した方が良いですね。金銭面のみを考えた場合の話ですが。
景気の状態によっては院卒の経済的価値がこの結果と異なるという論文もあるので、これもいつか紹介できたらと思います。
今回紹介した論文では、文理を分けての調査は行われていませんでした。
ですが、現状日本では文系より理系の大学院進学率の方が圧倒的に高いので、文理両方の学部卒と理系院卒で比較したのとニアリーイコールかと思います。(参考:文部科学省『大学院の現状を示す 基本的なデータ』)
この文理の違いや、そもそも学力の高い層の大学院進学率が高いことが賃金に影響を与えた可能性も大いに考えられると思います。
この結果のみを鵜呑みにせず、気になる方はご自身で色々調べてみてください。面白いと思います。
ゴハン
ゴハン

ちなみに私は飛び級で大学院に進学しました。

ゴハン
ゴハン

飛び級なんてできるの!?

ゴハン
ゴハン

大学によってはできます。これもいつか解説したいです。

吹き出し機能の存在忘れがちです。ひとり会話は寂しいので、やはり早くツッコミ役が欲しいですね。

まとめ

・35歳までの期間に多くお金が欲しいなら学部卒で就職
・そうでないなら院卒の方が金銭的メリットが大きい
・65歳まで働くと、院卒の方が4,500万円ほど生涯賃金収入が多くなる
ちなみに、未婚率は大学院卒の方が高いです。はい、それだけです。

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